仕事と向き合う

「好きなことを仕事にしたら成功する」と   単純に考えてしまう愚かさよ

美しい華

美しい華
「こんなに頑張っているのに、どうして成果に結びつかないんだろう・・・」
と嘆く人がいる。

おそらく、ほとんどの人がそんな経験を通過している、
あるいは現状ぶち当たっていることかも知れない。

 

僕は努力コスト(時間やお金の総量)と成果は、
比例関係では結びつかないと考えている。

ならば成果を生み出すために「努力」のどんな側面が大事なのか。

 

それは決して、どれだけの時間やパワーを費やして
頑張っているかという「努力量」の問題ではない。

大事なのは努力の「方向性」なのだ。

それは“質”という言葉と置き換えてもいいだろう。

 

わかりやすく説明するために極端なたとえを挙げるが、
野球をうまくなりたいと考え、
ボールを蹴る練習をいくらしても野球は絶対に上達しないだろう
(基礎体力の向上は見込めるかも知れないが)。

接客の仕事で一人前になりたいと考え、
パソコンのスキルを向上させても、
それは直接接客のスキル向上へとはつながらない。

 

夢を追いかければ成功するのか?

 

最近、Facebook で
『今すぐ夢を行動に移せば成功する確率は39%、
経済的な安定を優先すれば、その確率は0.08%』
というタイトルの記事が
数多くシェアされていた。

この調査はビジネススクールを卒業後、大富豪になった人を対象にしている。

記事を要約すると、その大富豪の割合だが、夢を基準に仕事を選んだ人からは39%で、
収入を第一に仕事を選んだ人は1パーセント以下になっているという結果に。

だから、「あなたの好きなことや、夢を追いかけるべきだ」という論旨で結ばれている。

 

正直ツッコミどころ満載のこんな記事に、
お気楽にも共感し、「そうか、好きなことを仕事にしよう!」と
単純に思い込んでしまう人たちは、そもそも成功しない人たちだろう。

 

シビアな現実に生きて、ハードな困難を乗り越えて成功を勝ち得た人、
あるいはその予備軍の人たちは、本質的に大事なことを知っている。

 

ちなみに、そもそもこのデータは母集団が
「ビジネススクールの卒業生」ということである。
前提として、資質的にも非常に優れた人間だということを
念頭において読み取ったほうがよい。

凡人は、違う観点で生業を見つけ出さなければいけないのだ。

 

凡人が思考すべき方向性

 

ではあえて、「何に努力すべきか?」ということについて言及してみる。

それは自分が大多数の中で秀でている“何か”を見つけ出す、
あるいは創り出す努力をすべきだ。

 

僕は過去にも、現在にも、
好きなことを生業にしていて食えていない人をたくさん知っている。

その反対に、世間と比べ優位にあることを武器にして仕事をしている人で、
食えないという人は誰ひとりいない。

 

もしあなたがひとかどの人間ではないと自覚しているのならば、
好きなことよりも“勝てる何か”を仕事にすべきなのだ。

さほど大した努力をしなくても勝ててしまう分野で、
とことん“努力していく”というスタンスが、僕の持論である。

 

仮に誰かの扶養の下で暮らせていける身分(学生など)ならば、
「収入よりもやりがい」を求めるスタンスにも一定の共感はできる。

しかし自分は独り立ちした大人であると自覚しているならば、
「収入とやりがい」を両立させなければいけないのだ。

 

その考えに気づかないことに危機感を感じない、
愚か者が多すぎるという
世の中自体が非常に問題なのであるが・・・。